また、猛暑の中、車に置き去りにされて、幼い子が亡くなりました。ここ数年の間に、送迎バスなどで置き去りにされた事故が繰り返され、いろいろと対策が講じられて来ましたが、非常に悲しいことに再びの悲劇を防ぐことにはなりませんでした。
今回は、幼児をその祖母が保育園に送ることになっていたのですが、どうしたことか、保育園に預けることを忘れて、勤務先の病院の駐車場に放置してしまったようです。祖母が仕事の忙しさにかまけて忘れたことが主因ですが、保育園側も、幼児が来ないのに、ルールである保護者への問い合わせを怠ったこともここまでの事故につながった原因と言われています。
また、このような痛ましい事故が起きないように、いろいろと対策が検討されると思います。それはそれで大事ですが、それだけではまた悲劇を繰り返してしまうような気がします。どんな対策を打っても、完璧であることは難しいと思います。それは人間が介在する以上、新たなヒューマンエラーが生じて行くからです。ルールを作っても、人間がそれを破ってしまえば終わりです。ルールを守らないときは、うっかり、忘れた、少しくらい大丈夫だとか、誰もが経験するようなほんのちよっとした気持ちから起こるものです。もちろん、本質的な対策はそのような人間の弱さを機械などでカバーすることも必要でしょう。しかし、それとて完璧でないのは、現在の技術の問題、コストの問題があるからです。
私は、もちろん考えられるあらゆる対策を講じるべきだと思いますが、一番大切なのは、幼児に関係するひとりひとりが、幼児の命を預かっていると言う気持ちを常に頭に浮かべて行動すると言うことだと思います。
幼児は、我々大人から見て羨ましい限りの活き活きした生命力を持っていますが、反面、ちょっとしたことで潰されてしまうほど弱い命しか持っていません。だからこそ、親をはじめ周りの人間は、この弱弱しい命を守ることを必死に努めなければならないのです。
命は一度消えてしまえば、二度と取り戻せません。だから、命の炎を消すようなリスクを見極め、それに対しては徹底的に備え、守らないといけないと言う基本的考え方を絶対忘れてはいけないのです。
子育てしていても、保育に関わっていても、それだけでは済まないほど忙しいとは思いますが、考え方として、幼児と関わる立場の人は幼児の安全を常に優先順位一番として、自分の行動を考える事が大切なのです。そうであれば、うっかり幼児を車に取り残すことなどあり得なくなります。つまり、車から離れる際に、まず幼児のことが頭に浮かぶからです。この行動習慣を身に付けることこそ、幼児の命を責任持って預かることが出来る最低限の資格だと心得てください。
最後に、政府も少子化問題に真剣に取り組むのなら、この世に生を授けた希少な幼児の命を守ることに、もっと知恵と金をかけるべきだと思います。