作家で元衆議院議員、東京都知事の石原慎太郎氏がお亡くなりになりました。歯に衣着せぬ物言いで、良くも悪くも日本社会に大きく影響を及ぼした方でした。私自身、彼の言動、行動をすべて認めている訳ではありませんが、生前、今の政治家は保身に走っていると失望されていた点については、特にその通りと感じています。政治の世界の中にいる方が、このように発言されていたことで、自分の感覚はあまり外れていないのではと意を強くしたものです。そういう意味でも、石原慎太郎という政治家は、自身の確固たる信念のもと、保身をあまり考えないで、発言、行動されていた点は大いに評価したいと思います。
政治家の主義主張は、自身の為よりも国民の為にという根本的精神があれば、政治家それぞれで異なっていてもいいと思います。最も問題なのは、自分自身の保身を優先する政治家が多くいることなのです。政治を志す大義名分は、国民の生命、生活を守り、良くするためと表面上、発言する政治家は多いと思いますが、本心は政治家として付随する富、権利、権力、名誉を得ることなのです。このブログで何度も主張していますが、政治家として得られるものがあまりに魅力的で、その果実に引き寄せられて政治家を目指すひとが多くなってきたのが背景にあるのでしょう。(このあたりの私の主張は、政治に関する過去のブログを参照してください)
この政治家の保身が、自身でリスクをとってスピーディで効果的な行動をとることを妨げていると思います。昨年末にデルタ株をメインにした新型コロナウィルス第5波の収束により、岸田政権の支持率は増加していましたが、ここに来て、オミクロン株による急速な第6波の到来により、減少しています。慎重にオミクロン株の特性を見極めている間にみるみる爆増してしまい、なすすべも無いような印象が国民の中に漂って来て、それが支持率に反映していると思います。慎重に見極めることは悪いことではありません。しかし、一方、限られた時間内に判断することも大変重要ですが、この許された時間内で最適な判断を下し、対策をするというリスクマネージメントの根本があまり感じられませんでした。時間という次元は非常に重要なのですが、今の政治の世界で、そこをきちんとマネージメントできているのを見たことがありません。専門家の意見もオミクロン株はこれまでのコロナと全く違う性質を持っているという点は共通していても、具体的にどうすればという事になると、いろいろな意見が出て、それを参考にして具体的な政策を作っていくべき官僚、政治家はどの意見を取り入れるべきかという点で、大きなリスクを背負わなければならなくなった途端に、誰も決めきれずにいるように見えます。このような状況を打開するには、岸田総理が、思い切って判断することが必要だと思います。その判断は相当重いものですし、失敗を恐れていては決断を下すことはできません。しかし、その重い判断をするのがトップとしての責務なのです。一番まずいことは、決断を出来ずに、時間を費やしている間に(もうすぐオミクロン株はピークアウトすると期待して様子眺めをするなど)、多くの国民が悲惨な目にあうことです。我々弱い民衆はそうならないことを祈ることしかできませんが、絶大な権力を持っている岸田総理には、決断ということができるのです。
最後に、石原慎太郎氏のご冥福を祈るとともに、彼の示してきた大胆な判断に習い、現政権が素晴らしい決断をされることを願います。