厚生労働省は、9月20日から、全世帯を対象に、新型コロナウィルスの新系統XBB・1・5に対応したワクチンの接種が始まると共に、従来株対応の約8,630万回分のワクチンを廃棄すると発表しました。これまでワクチンを確保する為に、ファイザー社、モデルナ社と交渉して、多量のワクチンを高値で買い付けて来ました。国民の命を守る為に、先行して、多量に購入したことは、一見、仕方が無いように思えますが、果たしてどうでしょうか。
損失額は示されていませんが、一回分で数千円以上と考えれば、数千億円以上を無駄にしたと考えられます。税金を少しでも無駄遣いしたくないと本気で考えたいのなら、ワクチン買い付けについては日本の頭脳を結集してあらゆる角度から高度な読みを駆使して実行すべきと思いますが、本当にそのような知恵を絞って実施して来たのでしょうか。オミクロン株は重症化率も低くて、また、2類から5類への移行も見えていた訳なので、高齢者、基礎疾患保有者以外の国民はそれほど多い割合ではワクチンを接種しないであろうことは読めていなければならないと思うのですが、接種希望者に対してワクチンが足りない事態になるリスクを恐れるあまり、かなり多めに契約してしまったのではと思います。政治家、役人は、自分自身でリスクをとって責任追及されることを避ける為にこれほど多くの国民の税金を湯水のように使ってしまったのでしょう。
もっとも酷いのは、これだけの損失を出しても、誰も責任を追及されないことです。であれば、リスクをとって税金の使用を極力抑えようと考える政治家、役人はほぼ出ないとも考えられます。
税金や年金のような公金の使用に関しては、これまでも非情にルーズな管理がされていました。例えば、旧社会保険庁が年金の活用として、グリーンピアと称したリゾート施設建設、運営などに多額に支出し、全て失敗して約4,000億円という大きな損失を出したことがありましたが、誰も責任をとっていません。
税金を使う方はいい加減なのに、税金を徴収する方は厳しく国民に納入義務を追求するなど非常にアンバランスな状態なのです。それなのに、いろいろこじ付けであらたな税金のネタを考え、国民に、それも大企業、富裕層ではなく、中小企業、貧困層、一般層を含めた幅広く国民全体から徴取することに努めているのです。
こんなことを続けていては、一般庶民の暮らしが良くなる訳はありません。この部分にメスを入れることもしないで、少子化対策だとか、福祉を充実するとか、綺麗事は、建前だとしか感じられません。