故ジャニー氏の性加害問題に関して、ジャニーズ事務所が記者会見で述べた内容について、ジャニー氏の名前を残すことや、ジュリー氏が代表取締役に留まること、ジュリー氏が事務所の100%株主として今後も君臨することなどに反発する声が上がっていました。

 これに対して、新経営陣が取締役会を開催し、ジャニーズ事務所の名称を変更するなどを決めて、10月2日に記者会見を開催して発表するようです。これだけ叩かれたのですから、社名を変えざるを得なくなったことは容易に推察できますが、私が興味を持ったのは、ジュリー氏の代表取締役留任です。ジュリー氏の会見の説明、つまり「自分は経営には一切携わらないが、被害者の救済に専念したい。その為に、代表取締役、100%株主に留まった方がやり易い」と言う点については、こじ付けだと感じました。被害者救済において、ジュリー氏が求められることは、彼女が保有する潤沢な資産から第三者が決定した救済の具体的内容を実行する為に必要な資金を提供することだけだと言うのが筋の通った話だと思ったからです。性加害の片棒をかついだ人間が自分自身で救済の中身を決めることなどあり得ないと思ったからです。

 そうこうする間に、報道では、ジュリー氏が代表取締役留任に固執した真の理由が明かされました。彼女が叔父であるジャニー氏、母であるメリー氏が次々に亡くなったときに、莫大な遺産を相続したのですが、その遺産の中のジャニーズ事務所の株などの相続にかかる相続税約840億円を彼女がこの事業を継承することで、免除されていたそうです。しかし、この特別措置には、少なくとも5年間以上、会社の代表者であり続けること、株を保有し続けることと言う条件があります。つまり、彼女は2025年某日まで、株主兼代表取締役としていなければならないのです。それを破れば、既定の相続税額と利息を支払わなければならないのです。

 ジュリー氏が被害者救済に専念すると言ったのですが、その為に、代表取締役留任は必須ではないと述べましたが、裏で、多額の相続税免税には必須であったのです。このことから考えられるのは、彼女の救済の意志は本物ではなく、ただ自分の資産を守る為の方便であったと思われても仕方ないのです。

 もし、そうでは無いと言いたいなら、被害者救済に、免税で得た約840億円全額を拠出すべきです。そのことを確約するのであれば、まだ、彼女の事を信じてもいいかもしれません。

 つまり、会見で言われたように心の底から謝罪したいと本心で思われているのであれば、ジュリー氏には、今すぐ、代表取締役を辞任し、国庫に840億円+利息を納付するか、それとも840億円を被害者救済にすべて拠出するかの道しかないのです。それ以外の道を選ばれるのであれば、彼女は自分のことしか考えていない金の亡者だと思います。

 ジュリー氏の保有する莫大な資産は、元々は、悪しき犯罪行為を続けた故ジャニー氏、故メリー氏が稼いだものなのですから被害者や社会に還すべきものと思います。