先日のブログで、ジャニーズ事務所のジュリー氏がどうして代表取締役を降りないかと言うことについて述べましたが、その後、事務所からこれは税金逃れの為ではないとの反論がされました。

 その内容を見ましても、納得の行くものではありませんでした。彼らの主張は、「中小企業が事業および雇用の継続を行うための事業承継制度であり、当社は雇用を維持し、事業を継続しております。法律事務所・会計事務所と協議し、事業を継続するためにはどのようにするのが一番良いか話し合った結果であり、税金逃れと言われるのは大変遺憾です。」と言ったものでした。

 この主張に対して、大きく二点について詭弁であると思われます。

 一点は、この中小企業の事業継承制度の狙いは、中小企業の代表者が死亡することで、その後継者に課せられる相続税を納付することで、その企業が大打撃を受けて、事業維持、雇用維持が出来なくなるリスクを避けることですが、ジャニーズ事務所はそのように救済すべき中小企業と言えるのかと言うことです。この制度での中小企業の定義は資本金5千万円以下の企業で、ジャニーズ事務所は資本金一千万円と言う事で、有資格だと言うことですが、ジャニーズ事務所の売上高の規模は約800億円もあり、利益率もかなり高く数百億円規模の利益を毎年上げていると見られ、つまり、実質、大企業並みの規模の事業なのです。彼らは、上場もしていませんので、資本金を増やす必要性も無いので、いろいろな優遇を受けられる名目中小企業としている方が得だと踏んでこの資本金に留めていたと思われます。つまり、法の網目をくぐる道を歩んで来たのです。ジャニーズ事務所は、その資産から見て、相続税を支払っても、事業を継続出来るだけの利益を生み続けて来た優良企業なのです。そういう企業が、法の抜け道を見つけて、合法だからと税金を支払わないのはいかがなものでしょう。解体的なやり直しをしたいと言っている企業がこのような姑息な税金逃れをしていいものでしょうか。

 第二点目は、法を破っていないのだから、問題ないと開き直っていますが、今回の性加害問題の経営責任を問われているのに、代表取締役に残る意味は無いと言うことです。前回も述べていますが、被害者救済の為であれば、代表取締役どころか、経営に残る必要も無いのです。免税措置を受ける為の条件に、代表を五年間続けなければならないとありますが、逆に今回の事件は、ジュリー氏が代表として相応しくないと明確になった訳で、その段階で、この条件を満たしていないとなる訳です。それなのに、代表に留まると言うことは税金逃れの為以外の理由は無いからです。

 ジャニーズ事務所の経営陣もジュリー氏も、心底、心を入れ替えて、一からやり直したいと考えているのなら、詭弁を弄して、ジュリー氏の資産を守る為に、姑息な手段を選んではならない筈です。

 このまま、この詭弁を続けるのであれば、彼らの言うところの真摯に被害者を救済し、二度とこのようなコンプライアンスの問題を出さないような企業体質に生まれ変わるなどと言うのは、世間の目をかわす為の嘘なのだと思います。つまり、これほど多くの性加害を続けた人間を、類まれなショービジネスの才能を持っていて、多額の金を生むからと、隠蔽続けた金の亡者の体質と変わっていないのですから。