ヤマト運輸は日本郵便との提携で、ポスト投函サービスのクロネコDM便を来年一月末に、ネコポスを来年度末までに終了し、代わりにクロネコゆうメールとして、日本郵便の配達網で届けることになるそうです。これに伴い、小型荷物の配達を委託して来た約三万人の個人自業主との契約を来年度末までに全て終了すると発表しました。さらに荷物の仕分け業務等を担当する契約社員約六千人との契約も打ち切るようです。
このような大幅なリストラはビジネスにつきものですが、経営者のご都合主義のしわ寄せと言えるのではないでしょうか。新しい事業を拡大するときに、将来のリスクを考え、正社員を増やすのではなく、個人事業主や契約社員を増やして来て、業績低下により、切り捨てると言うやり方なのです。
ヤマト運輸は、社訓で、人を会社の一番大切な財産として位置付けているのですが、正社員以外は人ではないのでしょうか。
資本主義では、会社は株主の為に業績を上げることを目的としており、その為であれば、リストラで人を使い捨てすることも常套手段となるのです。私は会社というものは、従業員、顧客、株主、取引先すべてを大切にするべきで、その中で特に従業員を大切にするべきだと思います。従業員が頑張って働き、そのサービスの向上により顧客に貢献し、その結果、収益を上げて、株主に配当するというのが理想の姿だと思っています。しかし、経営層は収益が落ち込むと、自分自身の能力の無さを棚に上げて、すぐにリストラとして雇用に手を付けてしまいます。しかし、資本主義ではそのやり方が許されているのです。それは、経営者は株主に対して収益を上げることで、自分達の地位を維持することに努めるからです。極稀に、知恵を絞り、いろいろな策を講じて、雇用を確保することに努力する経営者もいますが、ほとんどがリストラに頼るしか出来ない無能な経営者です。
社会を安定させるには、雇用を維持しつつ、事業を進めることが重要なのですが、今の資本主義社会では無理なのです。経営者や評論家の中には、弱肉強食の世界の中では、リストラされる方が悪い、自分自身の力の無さから強いものにやられるのは当然だと考えている人もいます。しかし、地球上の生物界では確かに弱肉強食ではありますが、強いものは自分が生きる為に必要なだけにしか、持てる力を使いません。それに比べ、資本主義社会の人間は、望めば、いくらでも富を増やすことが出来ます。例えば、アマゾン創業者、テスラ創業者などは数兆円の資産を作っています。そのような成功者の陰で、多くの人間が使い捨てにされるのが資本主義という仕組みなのです。
私は、この青天井の資産形成を止めるべきと思っています。その能力、努力によりある程度の差がつくのは仕方がないと思いますが、今のように一人の人間が何万人もの人が一生楽に暮らせるような富を独占するようなことには反対です。富の極端な偏りは、人類の災い、争いを生むからです。その為に、社会全体、世界全体で、新しいルールが必要となるのです。