最近は、定年延長や、年金支給が引き上げられた為にシニア雇用などが増え、企業の中の高年齢の社員比率が高まっています。そう言う状況の中で、働かないおじさんが多いと感ずる社員が多くなっているようです。
これは、中高年の社員が増えたことにより、ポストが足りなくなった、それを補う為に、役職定年制が導入され、能力に見合わない仕事しか与えられない、頑張っても評価されない、給与が下がったなどと仕事へのモチベーションが低下したことが大きいと思います。
企業としては、政府が推進する高齢層の雇用確保をする為にとしたいろいろな対応策だけでは単に長く雇用すればいいのだろうと開き直ったような感じで、それにより働かないおじさんの増加を導いたとも言えるかもしれません。
慢性的に人不足の状況がありますが、企業が求める仕事内容が高齢者が積み重ねて来た経験を活かせる仕事とは一見、ミスマッチとなっていると言われていいますが、それは実は間違いで、年齢の枠を外せば、高齢層もまだまだ役に立つ能力を持っているのです。また、社会に足りないと言われている若年層向きの仕事でも、その指導者として考えれば、貴重な経験、能力を持っている高齢層も多くおられると思います。良い指導が出来れば、若年層のレベルも上がり、生産効率的な考えをしますと、労働力不足を補うことにもつながると思うのです。
企業としては、日本のホワイトカラーの生産効率も低く、これを向上させなくてはならないことは充分に承知していると思うのですが、中高年社員の動機付けが上手く見いだせなくなっているのでしょうか。
大体、シニア雇用として給与も減額した社員に、実態として以前と同じような仕事をさせている企業も多く、それでは以前のようにヤル気を出せと言っても無理だと思います。そしてそれを見た中年社員が自分の何年後だと、自分達もヤル気を無くしているのだと思います。
この傾向は大企業の方が多く、それは大企業が余裕があるからなんでしょうが、組織の総合力を高めると言った面では非常にマイナスだと思います。そのようなことに力を削がれていては、益々国際競争力が低下していくのではないでしょうか。と言って、高齢社員を排除しろと言っているのではありません。彼らにもっと遣り甲斐の持てる仕事内容と報酬を与えるべきと思います。そもそも将来が見えて来て、その中に遣り甲斐の持てる仕事、処遇がないと感じてしまうと、その時点から働かないおじさん化していくのだと思います。ですから、どんな年齢層でも、頑張れば、それだけの見返りがあると感じるような仕事の与え方、処遇を考えていくことが重要なのです。どうも、今のシニア雇用では、どれだけ働こうがそうでなくても、給料も変わらないようです。逆にシニア層であろうと、やっただけの成果に従って見返りを与えるのです。そのことによる生産効率増加から生み出された利益増により、若年社員の処遇も向上させれば、若者達が、給料に見合わない仕事しかしない中年社員、シニア社員が多いなどとは思わなくなると思います。
仕事の成果は、年齢なんかに関わるものではないと思います。成果が出れば、それに見合う処遇をするという本当の実力主義が日本にはまだまだ浸透していないのだと思います。上司に媚びへつらっただけでたまたま出世出来た役員、幹部達が、成果を問われると困ると真の実力主義を快くおもっていないのも多くの企業の抱える問題であると思います。