自民党の派閥の政治資金収支報告書に記載されていない収入が四千万円以上見つかったそうです。また、2022年に閣僚だった三議員が代表を務める政治団体が、海外土産代や贈答品などの支出名目で、計約百万円の支出をしていたことも判明しました。海外土産代として、14ヶ国での支出があり、アパレル店、高給シルク店、ワイン店での支出などが記載されていたそうです。馳石川県知事が講演会の席で、衆議院議員時代に、東京オリンピック招致活動の中で、国際オリンピック委員会(IOC)の委員に、IOC委員の選手時代の写真をまとめたアルバムを官房機密費で作り贈呈したと発言しました。その後、発言を撤回しましたが、当時のブログでも、自民党の五輪招致推進本部長として菅官房長官と面会した際、「想い出アルバム作戦」を報告し、発破をかけられたと記していまして、馳知事は今度はこれを認めています。
相当前から、政治と金の問題が何度もニュースを賑わして来ていますが、今回の報道を見ましても、改善しているとは思えません。私は、このブログで訴えて来ましたように、この問題の主たる原因は、金を目的に政治家になっている議員が多数存在していることと、選挙に多額のお金がかかることの二点だと考えています。
国会議員は多額の報酬や使途不明でも良い文通費のような手当を受け取っているのにも関わらず、さらに自由に使えるお金を増やそうと奔走しています。それは、もちろん個人の隠れ報酬としたいと言う部分と、選挙資金を増やしたいと言う目的があるのです。選挙は、合法な活動をする為でも多額な資金が必要でありますし、ましてや、買収もどきの違法行為をする為にも実弾と呼ばれるお金が必要なのです。
この資金を集める為に、団体、個人からの寄付集め、パーティと称される金集めも盛んな筈です。そして、今回のように、収支報告書を誤魔化して、裏金を作ろうとするのは、違法な活動を前提にしているからだと思います。
これらのお金は、単純に選挙に当選する目的だけではなく、党内での権力争いにも重要になっています。つまり、党内で重要なポジションを得るには、自身の派閥の人数を増やさなければなりませんが、それには、少しでも多くの議員の選挙支援、メインは金だと思いますが、その金の力で味方を増やす必要があるのです。
このように、議員に成る為、そして、首相、大臣はじめ政府の重要ポストを得る為、野党であれば党の重要ポストに就く為に、お金がものを言うのです。
本来であれば、政治家としての力量で地位を獲得するべきだと思いますが、現実は、どれだけ多くの人を選挙で勝たせることが出来るかが重要になっているのです。
つまり、政治家の一番の重要課題が、いかに選挙で当選するか、当選させられるかになってしまっているのです。そして、その選挙は、地盤、看板、カバンと言われるように、後援会のような組織票、選挙区での知名度、そして資金力で決まると言われているのです。我々国民からすれば、本来の政治力を持ち、国民の為に献身的に働く人材を選挙で当選させたいのですが、現実は、全く違う条件で当選が決まっているのです。
選挙がはじまった明治時代のやり方から、それほど進歩していません。ポスターや選挙カー、街頭演説、演説会に、テレビが出来て、NHKでの選挙演説くらいでしょうか。いずれにせよ、これくらいのツールでは、やはり、地盤、看板、カバンが未だに有効になってしまうのです。この条件で有利なのは、世襲議員なのです。今、かなりの割合で、二世、三世、四世の議員が占めているのはそのような理由なのです。
だから、世襲議員や地盤、看板、カバンを確立出来ている政治家達は、今の選挙制度を変えたくないのです。もし、選挙に勝つポイントが、政治家としての人格、実力となってしまうと、彼らの多くは落選するからなのです。
逆に考えますと、選挙制度を大幅に改革すれば、本当に国民が望むような人材が議員となれるのです。個人に、地盤、看板、カバンが無くとも、本当に適任者が選挙に出られるようにしないといけないのです。
立候補にあたって、どのような政治的な考え方を持ち、それを実現する為に具体的に何をするかというアイディアを立案し、発表することが、立候補の資格とします。そして、選挙管理委員会はその内容を、IT技術で、有権者に広く知らしめるのです。現在では、一部の高齢者を除き、ネットで情報を受け取ることができます。それが出来ない人達には、役所、図書館などの施設での閲覧環境を整えます。それが浸透した段階で、NHKは、選挙区毎に、候補者全員による討論会(ディベート形式)を数度と繰り返し放送します。それにより、彼らの主張の本気度、現実性、人となりなどを垣間見えるようにするのです。これまで申したことに関わる費用はすべて公共機関が負担します。つまり、候補者はお金がほとんど必要ないようにするのです。
誰でも簡単に立候補出来るようにすれば、訳のわからないような人も多く立候補して、混乱すると反論されるかもしれませんが、立候補にあたって作成した各候補者の選挙公約について、ある一定の条件をつけるルールを定めればいいと思います。それを判定するのは、政権などの色がついた人ではなく、例えば学士院会員の中から選ばれた人などがいいと思います。
さらに、もうひとつの重要なポイントである、金や権力を得る事を目的に立候補する人をいかに排除するかです。これには、議員の報酬を国民平均レベルにすることが効くと思います。そんなことをすれば、きちんとした政治活動が出来ないと反論されるかもしれませんが、政治活動に関わる経費は、すべて使用目的と領収書があれば、全額実費払い出来るようにします。また、首相や大臣が裕福で無ければ、他国から笑われると言うようなことも言われそうですが、これも公邸やセキュリティなど一切係る経費は、収入とは別途、使途を明確にして支払えばいいと思います。
政治と金の問題を正す為の基本的考え方は、政治に、訳の判らないお金は要らない、必要なものは、使途を明確にして、個人の報酬とは別に、全額実費精算する。選挙にも、個人が負担するお金を極力無くす、ということです。政治と金を切り離すことが、我が国の政治家の質を大幅に向上させるものと強く感じているのです。