以前のブログで、ガンジー氏について述べましたが、彼の唱える非暴力・不服従の精神は、その後の歴史に名を残した人達にも受け継がれて行きました。

 ひとりは米国で、人種差別に抵抗したマーティン・ルーサー・キング牧師です。彼の言動、行動に、黒人のみならず、多くの白人も支持をし、その大きなうねりが、黒人の地位向上につながって行きました。そして、フィリピンの民主化運動の指導者、ニノイ、ペグニノ・シメオン・アキノ氏で、独裁者のマルコス大統領政権を倒した革命へと国を先導しました。そして、ビルマ、現在のミャンマーの民主化運動のリーダーのアウンサン・スーチー女史で、軍事政権に抵抗して、一時は総選挙で大勝しましたが、軍事政権側の弾圧により、未だに民主化は成し遂げられていません。

 彼らは、ガンジー氏の精神を踏襲し、非暴力・不服従の運動を繰り広げ、一定の成功を収めました。しかし、ガンジー氏が暗殺されたように、キング牧師、アキノ氏も暗殺され、スーチー女史は、軍により長期間に渡る幾度の軟禁生活、禁固生活を強いられることになりました。

 非暴力を唱える人道的な指導者が、次々に暴力で抹殺されるのは、何ともこの世の理不尽を感じずにはおられません。しかし、私は、真の民主的で公平・公正な社会を作るには、この非暴力という方法しかないと思っています。暴力や軍事力で勝ち取った平和や民主主義社会は、いずれまた暴力や軍事力により、転覆させられ、独裁政権が築かれてしまうと思うのです。

 独裁者、独裁政権の弱みは、大多数の民衆が従わなければ、彼らの強権や特権、豊かな生活も成り立たない点です。わずかな抵抗者は抹殺すればいいのですが、大多数の不服従者は全員を抹殺することは出来ないのです。そこで、独裁者、権力者は、抵抗する民衆の代表者やシンボリックな人間を殺したり、逮捕することにより、見せしめとして、大多数の民衆を服従させようと企むのです。

 ガンジー氏やその継承者はその暴力を恐れていませんでした。彼らが暗殺される前の言動から、自分が殺されることを予期していたことが分かります。そして、その暗殺者を恨むなとも言っているのです。つまりあくまで非暴力を貫いていこうとしていたのです。

 この精神こそ、独裁者、権力者を倒す為の鍵なのです。その精神が、次に抵抗運動を継承するもの、周囲のもの、次代を担うものにも受け継がれていけば、民衆全体に勇気と力を与えるのです。

 キング牧師が「目には目をという古い法を守っていたら、世の中の人々はみんな目が見えなくなってしまう。」と言う言葉を残していますが、それがすべてを言い表していると思います。

投稿者

弱虫語り部

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