能登半島を中心とした地震の被害報告が毎日更新されて、死者数も増えて行っています。羽田空港では、民間機とこの地震災害への救援で飛び立とうとした海上保安庁の飛行機が衝突するという地震の二次被害と言ってもいいような痛ましい事故も起こっています。
国や地方自治体の最も重要な役目は、弱者を救済することだと思っています。弱者とは、今回のような災害で被害を受けた人々や真面目に生きていても生活に困窮している人々、新型コロナウィルスの流行時のように、個人レベルでは対処できないような状況に陥った人々です。そのような緊急事態、異常事態で、国民・市民を守ることが政府、自治体に課せられた使命なのです。まとめますと、国民・市民ひとりひとりの安全、命、健康的な生活を守ることだと思います。
このような原点をしっかり認識して、司法、立法、行政が機能しているかを考えれば、この国の政治の優先順位が明確になります。一見、政治は複雑そうで、様々な課題を克服していく必要があり、我々国民・市民には理解出来難そうですが、実はそうではありません。政治家や官僚は、これを複雑に見せておけば、何だか仕事をしているように思わせることが出来るのです。それが彼らの思う壺でありまして、それで、予算なども膨大に膨れ上がっても良しとしていますし、一部の人には有益ではあっても、本来優先順位の低いこと、多くの国民にはあまり必要の無いこと、も予算に紛れさせることが出来るのです。
例えば、来年度の国家予算に入っています一律の所得減税なども、その費用対効果から考えて、非常にまずい方策だと思います。このようなことも、国会を安定多数の与党が支配していますと、その政権の意志によっては、力づくで予算も通ってしまうのです。
我が国は民主主義と自由主義を標榜していますが、それはまだまだ未熟なレベルであり、議員は選挙で選ばれること、議会の決議は多数決で行われていることだけをその証拠としているだけで、残念ながら、国民・市民の声が政治にあまり反映されていないのが実態なのです。
自由主義とは、個人の意思で自分の生き方を決められることです。その前提条件として、他人のことを尊重し、他人に危害や迷惑をかけないことが必要です。
その自由を守る為に、政治が必要なのです。つまり、個人が真面目に自分の人生を歩めるように、前述しましたように、ひとりひとりの安全、命、健康的な生活を守らなければなりません。それさえ政治が確保してくれていれば、後は個人の自由を尊重すべきです。だから、特に弱者を支援しなければならないのです。自立出来ている部分について強者を支援する必要はないのです。
税金は、同じ社会に生きている人達の互助会の会費のようなものです。苦しいひとをみんなの力で助け合い、その為に、使うのが税金なのです。だから、幸せで豊かな生活をしているひとは、そうでないひとを助けないといけません。人生は、このどちらになるかは、運の要素もあります。自分が助ける立場になるときもあれば、助けられるときもあり、その共生関係、共助関係が成り立っているのが成熟した社会なのだと思います。