斎藤経産大臣のインタビュー記事の中で、企業からの献金を頂かないと政治活動は回せないと主張されています。その訳は、「私もパーティもやりますし、個人献金も頂いていますが、それだけで回せますかと言うと、事務所を構え、光熱費や郵送費、印刷代を払い、国が給料を負担する公設秘書以外に4人の秘書の給料を自分で出さなけゃいけない。政党助成金を頂いていますけど、全く足りません。」と言うことだそうです。

 一見、そんなにお金がかかるのなら、彼の言うように企業献金も要るのではと思われる人もおられるかもしれませんね。本人も有権者にそう理解させようと言われているのでしょう。しかし、この話を冷静に解析しますと、彼の言う政治活動とは、選挙対策が主なのだと分かります。つまり多くの秘書を雇い、選挙区にも事務所が必要であり、大量の印刷物を作り、郵送するのは、何の為でしょうか。選挙区での支持者の対応や、支持者を増やすことが主眼であるのだと思います。多分、そう言うと、広く国民の声を聞く為にやっているんだと反論されるかもしれませんが、それは表向きの言い訳でしかないでしょう。何故なら、支持者の声しか聞かない、いやこの程度の体制では聞けないからです。本音は、自分に投票してもらいたいことが目的なのです。その為に、ある程度の数の秘書を対応させる必要があるのです。そもそも、そのようなやり方で、多くの国民の声など到底集められません。自分に投票してくれる支持者に限るから、この程度のやり方で済むのです。反対方向に自分の言いたいことを、自分の選挙区の多くの有権者に、印刷物で、郵送したり、配布したりはしているかもしれませんが、これは一方的に自分の意見を言っている行為で、国民の声を集めることではありません。そうです。これも選挙対策としてのピーアール活動なのです。国民の声を本気で集めるのであれば、今のデジタル社会の道具を駆使すればいいのです。しかし、実態はそのような情報は国の、つまり省庁の機能におんぶに抱っこされていて、その為に自腹をきって人を雇ったりもしていないのです。

 国会で大臣をはじめ役職についている人には、関係省庁の官僚がすべて情報収集から資料作成、質疑問答集まで、用意してくれます。幹部でなく一般の委員会に属しての活動でも、官僚がほとんどのお膳立てをしてくれるのです。このようなことに自分の子飼いの秘書達が多くの労力をかけてはいないと思います。つまり、議員の主たる職務である、立法に係る政策案の立案、発議などの労力は自腹を切らなくとも何とかなるように出来ているのです。(本当は官僚に頼り切っている現実は大きな問題だと思いますが)。

 結論を言いますと、金がかかるのは議員自身が選挙に当選する為に多くの活動が必要で、その為なのです。また、わざわざ裏金にしないといけないのは、選挙対策としても大っぴらに公表出来ない手段もあるからなのでしょう。

 そうです。金がかからない選挙システムに変えれば、金集めに必死になる必要もありませんし、その為にかけていた労力も、政策立案の方に向けられることになり、本来の議員の職務に回帰出来ると思います。私が何度も選挙シテスムを大幅に改革しなければと主張しているのはその為なのです。どのように改革すればいいかは、「11.政治の改革例」を参照願います。