これまでにも述べて来ましたように、毎日の生活にも苦しいほどの貧困生活では人は幸せにはなれませんが、だからと言って、保有する富の量に比例して幸せになれるものでもありません。

 幸せを妨げるのは、独裁政治や戦争状態などの社会環境、貧困、飢餓と言った誰にでも当てはまる共通の悪条件以外は、個人個人の心の持ち方にあると思います。

 裕福でも幸せに感じられない人もいれば、庶民レベルの生活でも幸せを感じている人もいるのです。後者の人に共通する気持ちは、他人と比較したり、他人を羨んだりしない、大勢や人気、流行に流されない、自分の本当の心と会話出来る、友人が多くいる必要性も感じない、しかし例え一人でも心を許せる人がいる、などがあります。

 逆に、幸せを妨げるのは、他人と比較することでしか自分の価値を測ることが出来ない、自分より他人がいい生活をしていると思えば、妬み、ひがむ、物欲を満たすことでしか自分を満足させられない、しかし、どんなに所有しても自分を満たすことが出来ない、他人の不幸を笑う、願う、自分中心にしかものを考えられない、良くないことはすべて社会のせい、他人のせいにする、障害になるものから目を避ける、逃げる、自分の不幸を親のせいにする、物にあたる、物を粗末に扱う、生き物の命を軽く扱う、本意ではないのに、上司に言われた通りにしか働かない、生活の為にしか働く目的を考えない、などなどです。

 このような感情は、他人を卑しむだけではなく、自分自身を卑しめ、そのことで、金の多寡、利用価値の有無でしか人を見れなくなり、心底、信頼出来る人は出来ない。また、仕事への情熱ややりがいを持てずに、働くことがつまらなくなるのです。

 自分自身にどれだけ当てはまることがあるか、なかなか自分では分からないのが難しいのですが、常に意識して、自分の行動、言動、考え方をチェックしてみてください。段々と自分を客観的に見られるようになってくれば、自分を変えられる道が出来てくると思います。幸せとはそれくらい自分の生き様でコントロール出来る部分もいろいろとあるのです。