前回のブログで、自分より下位の者に横暴な振る舞いをする人間について述べましたが、韓国では、このような行為をカプチルと呼ぶそうです。有名なのは、ナッツリターン事件です。2014年、米国ジョン・F・ケネディ空港で、大韓航空機が離陸する為に駐機場を出た時点で、ファーストクラスに搭乗していた大韓航空副社長がナッツの提供のし方が悪い(マニュアル通りにナッツは出されましたが、本人はそれを知らずに失礼なやり方だ)と激怒し、責任者のチーフパーサーを降ろす為に、搭乗ゲートへ引き返させた事件です。この副社長は、大韓航空も含む韓国財閥韓進グループ代表の娘でありました。彼の兄が市民を恫喝したり、妹も暴言を吐くなど、モンスター一族と非難されました。韓国では、大きな富と権力を保有し、いわゆる特権階級の財閥二世・三世に対する反感が爆発して、世界的なニュースとなったのを覚えています。
この事件で彼らの父で韓進グループ代表は、育て方を間違ったと陳謝しました。確かに、生まれたときから、財閥の幹部としての将来が保障され、周りの人間から、チヤホヤされて、何不自由無く育った彼らが勘違いするのは容易いかもしれません。
人間の本当の価値は生まれた家で決まるのものではありません。しかし、身分や家柄で社会的な地位がある程度決まってしまう社会も事実です。それはたまたま運が良かっただけのことであり、自分自身が何か事を為した訳ではないことを幼い頃から叩き込まなければ、今回のような人間が出来上がってしまうものなのです。
私が唱えています人間分類法では、シュバイツアーのように、例え裕福な家に生まれたとしても、生まれながらに他人に平等に接することが出来るのが、AEタイプです。逆に、どんなに厳しく諭そうが、それを理解出来ずに、他人を蔑視するのが、DEタイプです。そして、我々ほとんどの人間は、きちんとした育て方をするかしないかで、カプチルをするかしないかの人間に分かれるのが、WEタイプなのです。
韓国でも日本でも、勉強が出来ればいいと考える親も多くいると思いますが、その前に人間としての基本的な考え方を教え込むことが非常に重要です。勉強だけではなく、そういうことも含めて人を育てる教育というものが如何に大切であるか分かっていただけるのではないでしょうか。
ポイントは、人の価値は生まれでは無く、如何に生きて社会の為に事を為すかであり、また、もし成功を得られたとしても、自分自身の力だけでは無く、多くの助けがあったこと、そして運も良かったことと謙虚に受け止め、決してどのような他人をも敬う心を見失ってはいけないと言うことです。この真理を理解していれば、カプチルのような行為は無くなると思います。