民主主義を多数決で決することと誤解している政治家が多いのではと思います。彼らは、選挙で過半数以上の議席、そして各委員会の委員長ポストを独占出来る現在の与党の勢力を維持しようと躍起になっています。現在のような安定政権が出来てしまうと、どんなに野党が反論しようが、採決に持ち込めば、与党、政権の思うままに法律を作り、政策を進めることが出来てしまうのです。

 私が考えます理想の民主主義での議会活動とは、個別の政策毎に、与党と野党が丁々発止のやりとりの議論で、その政策内容の出来不出来が明らかにされ、その結果として、最も国民の納得いく形で政策立案が決定されるべきだと思っています。現在のように与党自民、公明が安定多数の議席を保有してしまうと、政策の中身に対する議論の内容とは関係無く、与党の政策を通すことが出来てしまうのです。安倍政権以来そのような状態が長く続いた結果、政権幹部が適当な質疑で押し通してしまうことが当たり前の議会になってしまったのです。そして、その結果として、政権は国民感情から乖離しても、自分達の思うままに政策を進め、それが国民の為という第一義的な目的から逸脱し、自民、公明の為、そこに属する議員の為の場となってしまったのです。本来の民主主義は、その政策の善し悪しで議員が議論しあい、その議論の結果で、採択が決まるものでなくてはならないのです。初めから多数決で勝てるからと、国民不在のやり方を政権が為せるようになるなどもってのほかなのです。

 自民党はその支持団体、組織、企業に対して、安定多数の議決を与えてもらうと、貴方達の為の政策を安定的に実現出来ます、だから、票をください、議席をくださいと支援を頼んでいるのです。その結果、起こったことは、大企業、富裕層に迎合する政策がまかり通ってしまったのです。表向きは、国民の為と言っていますが、実際は自分達政治家の為、そしてその自分達を議員にする手助けをしてもらう一部の特権層のことを一番に考えているのです。

 国民も企業、団体に属している人達が多くいて、自分の属する組織にプラスとなるには、自民党、公明党に安定多数の議席を与えなければならないと信じている人が多くいるのです。しかし、企業や団体の中で、その恩恵を多く受けているのは一部の幹部層、富裕層なのです。実際は、ほとんどの社員はその政策に各々の生活が苦しめられていることを認識しないといけません。

 多くの一般国民は本当に自分達の為の政治を議員達にさせたいと思っているのであれば、安定多数与党、政権を作らせてはいけないのです。案件毎にそれぞれの政党の主張する内容に従って、どの政策が採択されるか、微妙なバランスの議席数構図にしなければならないのです。そういう状態であれば、政権は常に緊張状態におかれ、世論や国民の声を無視して、強攻突破などは許されなくなるのです。かつて、民主党が政権をとったときの力不足で、自民党しかないと信じておられる人もいるかと思いますが、確かに、政権を動かすには、官僚や企業、団体を動かすことも必要で、そのことには自民党がこれまで長く政権を担ってきた中で卓越していて、民主党にはそこを動かすノウハウをあまり有していなかったのだと思います。しかし、そうだからと言って自民党政権ばかり続けていては、野党にその力はつきません。それは少し我慢しても育てなければという目でみてやらないといけないのです。

 国民がそのような事を理解して、選挙の投票に臨まないといけません。自民党に盲目的に投票するのではなく、政党とは関係無く、その候補者の人格、能力を見定めて投票すべきです。そして、その結果として、拮抗する議席バランスの上に立つ政権が出来上がれはいいのです。それは、自民のときもあり、他の党でもあってもよく、彼らが常に緊張感を持ち、国民の声を無視してはいけないと考えるようにさせないといけないのです。