我々の住む日本の将来をどのように目指すかを考える上で、世界全体の様々な動きが大きく関わっています。本来ならば、世界全体をどうするかをまず考えて進むべきだと思いますが、残念ながらあまりにも多くの思惑、欲望、考え方が交差している現在の地球をコントロールするのは非常に難しいことなので、一連のブログの最後には触れることとして、まずは現在の世界情勢を前提に日本の進路を考えたいと思います。
今の日本政府の目指している道を大雑把に整理しますと、人口減少に歯止めをかけ、一定の自由貿易の下、競争力を高め、経済成長を達成し、国民の生活を豊かにする、と言う感じです。もちろんこれを達成出来るのであればいいと思いますが、実際は国民に耳障りの良い実現不可能な夢物語であると思います。
まず人口減少について申しますと、これだけ一つの生物種が増えてしまいますと、自然の摂理は人類の数を減らす方向に働くと思います。遺伝子レベルでは癌など個体を滅ぼすメカニズムが作用していきますし、あらたな病原菌が出現したり、また人間個々の生殖能力を低下させたりしていくでしょう。これに逆らうように科学技術の開発をさらに進展させるように努めては行くでしょうが、現在の多様な人生観を持った人間のマインドの問題として、子供を産み育てることをかつてのように盛んにすることは、子育て支援程度ではあまり効果はないと思います。
自然の摂理に逆らうような無理は止めた方が無駄なお金や労力の浪費を防いでくれると思います。以前のブログで述べましたように、私は人口減少はそんなに悪いことでは無いと考えています。人口減少に関し、今の日本の一番の問題は、生産年齢層が減少し、高齢者の割合が増えることで、年金や医療、福祉関係の社会保険料が国の財政を圧迫することだと思います。これは、団塊世代、団塊世代の子世代が突出した歪な年齢構成によって助長されるからです。一定の年齢構成を維持しつつ、少しづつ人口が減少していくのであれば、打つ手はあると思います。ですから、特別な対策が必要なのは、団塊世代の層が生存している間であって、その層が寿命を尽きた段階になると社会保険料などの財政問題は解消されると思います。
もうひとつの問題として、生産に携わる層が少なくなることでしょうが、これは10年、20年と科学技術が発展すれば解決していくと思います。その鍵は人工知能(AI)とロボット技術です。これらの技術で、重労働、危険な労働、単純作業、定型作業、そしてその類の事務作業にも人間が従事することは無くなるでしょう。そのようなこれまで多くの人間が携わっていた仕事が機械に代替されるようになる人数だけ人口は減少しないと大変な人余り時代、つまり失業者への社会負担費増が足枷になってしまい、人を増やすことが仇になってしまいます。もちろん、そうなると人間には機械で達成出来ないようなクリエーティブな仕事をしなくてはならなくなり、今のような能力構成だとミスマッチとなってしまいますので、教育システムの抜本的な改革も同時に実施する必要はあります。
しかし、この道筋を前提にして考えますと、人間の仕事を機械で代替する為の科学技術の開発に注力したり、そういう社会で人間が担う必要のある分野での人材育成システムを導入するという効果的で具体的な方策が見い出さるのです。
結論として、私が言いたいのは、人口減少を逆手にとって、機械化を進め、生産性を高めつつも過酷な仕事から人間を解放し、多くの人が豊かな暮らしを享受出来るようなゴールを目指して、そこへ行き着く為の方策を打っていくべきだと思うのです。そして、そのゴールに辿り着くまでの過渡期への対応としては、いずれ顕在化するであろう、必要とする職種とのミスマッチの人材を団塊の世代で一時的に増大する医療、福祉などの分野に投入して活用し、その人件費の財源は、大企業、富裕層への社会支援としての時限的増税で賄うことで可能になると思います。
次回に続く