生物の世界では、弱肉強食が基本的な世界です。しかし、ライオンやシャチのような強者が全てを支配することは無く、すべての生物は植物連鎖の膨大な網の中に位置付けられ、その状態を維持するような自然の摂理が、この地球を維持しています。しかし、気候変動などの環境変化がその恒常的な営みを破壊することが起こり、その変化に適応出来なかった個体や種類はその強さには関係無く、滅亡し、環境に適応した生物が微妙なバランスを保ち、自然界を維持して来ました。しかし、人間が出現してからは、その法則は乱されて来ました。人間以外の生物は、自分の生存に必要な量に限って、狩をし、採取するものですが、人間は際限無く狩ったり、採取したりし、近年は、必要なものを人工的に増やしたりするので、自然界のバランスを大きく崩して来ました。そのお蔭や、科学技術の進歩で、人類の数は異常なほどの増加を達成することが出来たのでした。
そして、このようなどん欲な行為は、人間同士の営みの中にも及んで来て、自分とその家族、一族、仲間という限られた人間だけで、富を独占しようとしました。さらに、それが高じて、他人から搾取するまでに至りました。結局、その行為は、人間の中に争いと言うものを生み出してしまいました。ある意味、それが現代まで続いていると言っていいかもしれません。この流れが、戦争のような殺し合いで表れているだけではなく、経済社会でも、ビシネスとして、限り無くお金を稼ぐことにも行き着いたかもしれません。そういう意味で、限度無き弱肉強食となっているのかもしれません(人間以外の生物では、弱肉強食ではあっても、節度があり、自然のバランスを崩すことはあまりありません)。
テスラの創業者イーロン・マスク氏はテスラ社の時価総額が6,500億ドル(約100兆円)を超えた場合、その一割近い報酬を受け取ることが出来る契約をしていて、それが達成されたと取締役会が認定したそうです。大リーグドジャースの大谷選手が10年7億ドル(約1,000億円)で契約したことにも驚きましたが、上には上があります。
米国型の自由資本主義経済では、市場が認める価値があればいくらでもお金を稼ぐことが出来ます。アメリカンドリームです。この点に関して、私はこれが社会の貧困や争いを招いているひとつの要因だと思っています。私は、社会主義や共産主義を支持してはいません。社会の活力を維持し、発展していくには、自由経済は必要だと思っています。しかし、ここに示したような事例、つまり、かなり豊かな生活をしても到底使いきれないようなお金を独占することは止めた方がいいと思います。もともと、このような幸運をつかんだのは彼らの実力、努力があったのだとも理解していますが、それプラス運も味方したのだと思います。謙虚に考えれば、非常に運が良かったと言わざるを得ません。だから、過剰な報酬は社会に還元すべきなのです。そう言えば、マスク氏は宇宙産業に多大な投資をしているだとか、大谷選手は日本の小学校にグローブを寄贈して、社会還元に努めていると言われるかもしれませんが、彼らの資産から考えるとそれでは少な過ぎると思います。そして、寄付のような行為は駄目だとは思いませんが、それに頼っては、個人差により、ちゃんと社会還元しない人も多数出て来ると思います。だから、法外な収入に関しては、法外な税金を課すのが良いと思います。
資産家達ももっと考えるべきです。貧困や飢えがあり、そこにつけこむ権力者達がいるから、世界から戦争や紛争が絶えないことを。そのことがいずれ、自分の子孫や知り合いを不幸に巻き込むことになることを。そして、どんな人間でも、衣食住にさえ困らなければ、誰もが幸せの花が咲く立派な土壌を持っていて、後は、自分の考え方、行動で幸せをつかめることを。そのことが平和な世界を作ることを。法外なお金など、幸せには必要ないことを。