トヨタの昨年度の決算が出ました。約5兆円の利益を計上していました。その中で、為替差益が約7,000億円も含まれていました。我々庶民は円安からの多くの商品の値上げによる物価高で、家計を大幅に圧迫されている現状なのですが、輸出産業の代表でもある自動車メーカーは桁違いの利益を享受しているのです。逆に東京電力は、石炭、ガスなどの価格高騰を受けて、電力料金を値上げしています。そのような状況にも関わらず、昨年度の経常利益が3,900億円と前年度に比べ大幅好転している予想です。電気料金はこれまで度重なる値上げで消費者を苦しめて来ましたが、これほど利益が出るのであれば、値上げも抑制出来たのではないかと勘繰って見てしまいます。彼らは昨年度は石炭、原油等の価格が落ち着いたからで、タイムラグで利益が出てしまったと弁解するのでしょうが、やはり、日々の生活でやり繰りしている庶民感情から言いますと、何か腑に落ちないと考えてしまいますよね。
いずれにせよ、為替変動は企業の業績にも、そして我々の暮らしにも大きく影響しているのが現実です。しかし、これは企業の実力とは関係ありませんし、円安による輸入商品関連の価格高騰も何ら製品の需給や付加価値と関係ない部分での価格変動であります。このような不合理な変動は、政治で吸収すべきだと思います。
トヨタに為替変動で得たような利益は社会に還元すべきだと進言しても、これから先に為替変動により利益が縮小するようなこともあり、それに備えておかねばならないので、今回の為替差益は確保しておきたいと答えるでしょう。このように、為替変動による差損を企業単位に任せていれば、何ら社会への還元などあり得ないのです。だからこそ、政治が動くべき事柄であると私は思うのです。
例えば、会計上の為替差益は、国庫に納付しなければならないとし、反対に為替差損は国から救済されると言うようにしたらどうでしょうか。そうすれば、今回のような円安局面では、輸出産業から多額の為替差益が国に集まり、国から輸入製品の為替変動による値上がりを抑制する為の援助が出ることになります。そのことで、輸入の原材料を使って製品化する産業は、円安で製品値上げをする必要はなくなるのです。
このような方策は、国と言う大きな単位であるから可能なのです。そして、それこそが、政治が担うべき国民生活を安定にする政策となるのです。