政治資金規正法の改正案が参議院本会議で可決成立しました。これまでもお伝えしましたように、いろいろな抜け穴を残した案であり、これで政治とお金の問題を排除出来るとはとても考えられません。

 改正案成立までの過程で注目しましたのは、各党の思惑が複雑に交差して、いろいろな動きがあったことです。特に、日本維新の会が、衆議院本会議のときは賛成していたのが、参議院に審議が移ってから、反対に転じ、岸田総理への問責決議案の提出に至っていますが、その際の各党の対応から重要なことが伺い知れました。

 日本維新の会は国会議員に使途を明らかにしなくて良い月百万円が支給されている文通費について、その透明化について事前合意していたのが、自民党が今国会での実現を見送ったことに反発したものです。これに対し、野党の各党は日本維新の会の行動を強く非難していました。

 この顛末については、いろいろとあるとは思いますが、私が残念だったのは、野党が日本維新の会の振る舞いに異を唱えて、肝心な文通費についてははっきりとした態度をとらなかったことです。

 このような各党の対応を見ていますと、日本維新の会以外の党は文通費に触れたくないとしか思えないのです。文通費は与野党に関係無く、国会議員に一律、月百万円、年間一千二百万円もの大金が支給されていますが、使途を示す必要が無い事から、実質給与と同等であると言われているお金なのです。ですから、お金を目的で議員になってる人達にとっては、使途を明らかにしたり、廃止したりすることは極力避けたいと思っているのが本音なのです。自民党、公明党の与党議員だけではなく、それは立憲民主党、国民民主党、共産党などの野党議員も同じ穴のムジナであると見られてもおかしくありません。もし、そうでないのであれば、日本維新の会がせっかく文通費について俎上に乗せようとしている機会を活かさない手はありませんが、そこには触れずに、日本維新の会のやり方がおかしい、改正案については政策活動費の透明化と議員の監督責任強化が不十分であるとした立場しか示しませんでした。

 本来、政治と金の問題について論ずるならば、文通費などとして表面上の体裁を整えた実質は給与上乗せのお金などは真っ先に廃止にするべきであると思います。文通費については二年前の国会でも問題にされましたが結局うやむやになっていますし、今回の各党の対応を見ていましても、やはり、ほとんどの議員はまたうやむやにしてしまいたいと考えているのだと推察出来ます。これが今のほとんどの国会議員の本音なのです。

 政治とお金が問題になったときに、多くの議員は政治にはお金がかかるのだと開き直る発言をよく聞きますが、文通費に固執するのを見ますと、結局は政治活動にかけるより自分の懐を潤わしたいだけではないのかと思えてなりません。