前回のブログで、国会議員が今のままの文通費を守りたい理由を考えました。確かに、一般人であれば、自分の稼ぎ、自由になるお金を減らしたくないと考えるのは普通であると思います。しかし、国会議員は違います。自分の欲望を優先していはいけない立場である筈です。つまり、本来は自分のことより国民のことを優先しなければならない職業なのです。この基本的な考え方を理解していない、理解しようとはしない人間が多数議員になっているのが現実だと言うことが、政治と金に対する議員達の対応を見て来ればよく理解出来ると思います。

 国会議員という職業はその本来の役割(国民の安全と生活を守る)を達成しようと真面目に対応していくのなら、大変な仕事なのですが、割り切って、金や地位、特権を目的にしたいと考えれば、良心の呵責など気にしない単に上手く立ち回れる人間であれば、非常においしい職業なのです。

 彼らにとって最も重要なのは、選挙に当選することなのです。議員の地位を獲得出来れば、後は、党が行っていることを自分が貢献していると大袈裟に主張すればそれでいいのです。もちろん、選挙で当選するのは簡単ではありません。世襲か、政党や力のある団体に入って推薦を受けるか、政治家養成塾に入塾するか、有名人になるかと限られた道を歩むことが必要です。この道に乗りさえすれば、選挙で有権者に耳心地の良い公約を述べて、任期中は党の進めていることをなぞって自分の手柄にしておけば、そして、支持団体、支援者にだけ真面目に対応していくだけで体裁は整えられるのです。政治にお金がかかると言っても、ほとんどが秘書を多数雇う人件費と選挙対策の為です。その秘書も選挙対策の為に支持者に対応することが主体であって、与党では有能な官僚がついていますし、野党でも議員個人の仕事よりも党がいろいろとしてくれますので、国会対策などはほとんど必要ないのです。つまりは、金がかかるのは選挙で当選する為なのです。

 そして前述したような狭い道に乗れる人間しか当選しないような選挙システムなのです。この選挙システムがなかなか変えられないのは、既得権益を持つ議員達が一般の良心ある国民が国政の場に出て来れないようにしたいが為なのです。

 多くの課題はありますが、明治や昭和初期のような未曽有の国難に対する時代とは比べ物にならないくらい経済的にも外交的にも安定な時代(戦争も無く、失業者も少なく、決定的な大不況、飢饉が無いと言う意味であって、決してみんなが幸せな時代であるとは言っていませんが)を過している内に、本来の政治の機能がぼやけてしまっているようです。そして、かつてのような国の為、国民の為と、命をかけて政治を志すような人間はいなくなったようです。

 政治と金の問題を真剣に考える為には、表面的に政治資金規正法を改正するだけでなく、根本的な問題、どうして金が必要なのか、どうして選挙に金が必要なのかを掘り下げ、金目当てや国民より自己を優先する政治家を排除出来るように、抜本的に政治家の待遇と選挙システムを変革しなければならないのです。(このブログの4.5.11.を参照してください)