NHKのドキュメントで保護司として少年、少女達に深い愛情で親身に世話をやき、相談に乗っているばっちゃんと呼ばれる高齢女性の話がありました。
彼女は補導されたり、問題行動を起こす子供達と接する間に、彼達の非行に走るきっかけはひもじい所から、少年はカツアゲ、万引き、少女達は売春などに走るのだと気が付いたそうです。それで、自宅で料理を作り、彼らに振る舞うようになったのだそうです。そのうちに協力者も増え、少年、少女達が無料で食事出来る場所が出来上がったのです。彼らはお腹が空くとそこを訪れ、腹を満たした後は、ばっちゃんと話をし、悩み事なども相談していくのでした。
一人の少年は家庭に居場所が無く、不良仲間に誘われて悪さをして、少年院に入ります。親では無く、ばっちゃんには本音で話をして、きちんと向き合ってくれるばっちゃんを信頼するようになっていましたが、ついつい悪友の誘いに乗ってしまったようです。少年院に入っても、ばっちゃんとの交流は途切れず、少年院を退院して、高校に行かず働くようになりました。不良仲間の誘いの手が届かないように、故郷から離れた場所での新生活でしたが、ばっちゃんに会いに帰郷して、ばっちゃんの料理に感激するのでした。そして、彼が心を打たれた話として、彼が少年院に入るときに、ばっちゃんが自分の為に泣いたこと、そしてばっちゃんがいてくれたから、今の自分があることを話していました。その後、彼は成長して、家庭を持ち、子供も生まれて、立派な社会人となったことが後日談として語られましたが、このようにばっちゃんに救われて、真っ当に生活している例は多くあるようです。
恵まれない家庭環境にある子供達は多く存在するでしょう。本来であれば、政治の力で、国や自治体がきちんと手を差し伸べるべきだと思います。もちろん、最前線で活躍している政治家、役人もおられるかもしれませんが、大半は、ばっちゃんのようなボランティアに頼っているのも事実です。ばっちゃんは心から子供達を少しでも多く救いたいとの一心から、自分の生活も犠牲にして行動されているのです。本来は政治家達が心のこもった政策を作って行くべきだと思いますが、政治家は泥臭いことに手を染めようとはせず、家庭環境に恵まれない子供達には通り一遍の血の通わない対応策しか示して来ませんでした。
選挙では綺麗ごとを並べていても、実際は表面的な対応でお茶を濁している政治家のどれだけ多いことか。ひとを助けるとは、深く彼らの心情に触れてこそ、彼らに信頼され、信用されることで、対策に血が通うようになるのです。ばっちゃんはそのことを明確に示してくれています。本来、弱者に手を差し伸べるのはこのような心の持ち主でないと出来ないと思いますが、残念ながら政治家にはそのような心を持ち合わせていない人がほとんどだと思います。結局は己の欲望の達成、富と地位と特権を得る為に議員になっているのですから。
議員のように人の為に仕事をしなければならないと言うことは、自分の欲を抑え、他人を優先することが必要なのです。そのようなことをしてでも、国民、市民の為に仕事をしたいと思っている人達が政治家になれるような仕組みを作らなければ、いつまで経ってもずる賢い政治屋が首長や議員の席を占めてしまうのです。