今回の東京都知事選は、56名の立候補者が出るなど、今までとは違った選挙を見ることになりました。その中で、私が感じた点をお伝えしたいと思います。
まずは、これまでの選挙方法に対して、今のままのルールであればやはり限界に来ていることが明確になったと思います。ポスター掲示が金儲け、売名、アピールのツールとなることが示されました。そして、立候補そのものも、知事になるという目的ではなく、新たな広告ツールと考えて立候補することも可能だと分かったのでした。そもそも今の選挙方法は明治時代に選挙制度が生まれたときから、大きくはスタイルを変えずに続いていた訳ですから、それを大した改良もせずにここまで続けて来たこと自体信じられません。特にIT技術がここまで発達して来たのですから、それをコミュニケーションツールとして利用しない方が前近代的としか思えないと思います。そういう意味で、石丸候補がSNS、インターネットを駆使して、情報発信、情報収集に努め、それに若い層が呼応することによって、新たな展開が図れたのは大きな意味があったのではないかと思います。
一方、石丸候補が予想より大きく得票を得たことは、前述しましたようにIT社会を上手くとらえ、新たなページを開いてくれたと思いますが、結局勝敗を決したのは小池陣営の組織票だったとは、まだまだ民意が反映されたとは言い難いとも思えました。ですから、もっと民意を反映させる為にも、IT技術を駆使し、有権者が個人個人の意思を投票で示せるようにしないといけないのです。
組織票とは、政党や業界団体の支持の反映でありますが、残念ながら、大多数の一般都民の民意がどれだけ反映されたか、まだまだ不十分だったと思います。さらに、投票率が前回より増えたのですが、まだまだ60%ちょっとと、40%の都民が棄権している現実があります。
私は以前から、本当に国民、市民ファーストの政治家が増える為には選挙システムを大きく変革しなければならないと主張しています。その主軸は、最先端のIT技術を駆使し、候補者の情報を効率的、タイムリー、正確に有権者に届けること、これにより、ポスター掲示や選挙カーでの名前連呼型の運動を止めるべきだと思っています。金のかかることは極力廃止し、ネットでの情報発信、拡散を進めるべきだと思っています。そう言いますと、高齢者を置き去りにすると言われる方達もいますが、団塊の世代以降の人達は、ある程度のIT環境で仕事をして来られたと思いますし、スマホの所持率も低くくはありません。唯一ケアしないといけないとすれば、80代以上の方達だと思いますが、そこに焦点を当てて、サポートする方法はあります。NHKが選挙期間中だけでも、高齢者が視聴出来る時間帯をほとんど、選挙情報発信に利用すればいいと思います。もう一点は、今回の都知事選でもほとんど実施されなかった、候補者達による討論会を少なくとも、3~5回以上開催し、ネット、NHK放送で公開したら良いと思います。一方的な演説ばかりでは、候補者の嘘を簡単には見抜けないのですが、討論会で、お互い議論し合うと、結構ボロが出ると思います。それを繰り返せば、かなり本音レベルがどこにあるか浮き出て来るものです。
そして、投票率を高める為の最後の手段が、オンライン投票です。投票率が高まり、浮動票と言われる層が多く投票すると、組織票が薄まります。だから、既存政党、議員は、オンライン投票はセキュリティの問題などがあるとして反対していますが、そのような嘘まやかしに騙されてはいけません。きちんとやれば、セキュリティを確保出来るだけの技術があるのです。
今の選挙方法を守りたいと思っているのは、既得権益を今後も世襲や限られた人間だけで握っていたいと考えている政治家達です。このような人達が法律を作っているのですから、この日本に新しい政治の波が訪れにくいのだと思います。
最後に、今回の選挙は、既存の選挙がどれだけ駄目なのかを示してくれ、一方、IT技術を活用することの可能性を示唆してくれたと思います。