日銀の決めた金利アップに、米国の株安を受けて、日経平均株価が、三日間で7千円以上下落しました。7月に記録した最高値からは1万円以上の下げ幅です。専門的な投資家達は、下げ気配を感じ、これまでの株価上昇による含み益を少しでも回収するために、一斉に売りに転じたことで今回の大幅下落は起こったと考えられます。そして、利益確定出来たら、今度は安値の内に買い戻しして、さらに利益を狙うと言う思惑もあり、本日は反転して3千円以上の高値に戻りました。株式市場の中で投資家達がとる一般的な動きだと思います。
さて、政府は貯蓄から投資へと国民に株式投資等を推奨し、新NISAと言う免税制度を打ち出して来ました。しかし、今回のような急激な株価下落には、投資信託投資を開始した一般国民は戸惑うしかありません。
私は個人的には株式投資に素人が手を出すことをお勧めしません。それは投資には常にリスクが付きまといますが、そのリスクをどうコントロールするかはかなり専門性が必要だと思っているからです。確かに、政府が推奨しているのは、素人は証券会社の投資信託などに加入し、専門家の力を借りて資産を増やしなさいと言っているような気がしますが、それとて今回のような全面的な株安では利益を出すのは至難の業です。否、誰だって損が出るのは当たり前です。
株式投資と言うものは、そもそも皆が儲かることはありませんし、100%の利益確保などはあり得ないのですから、もしそれがあるのなら、証券会社は自ら投資して、儲ける方が簡単な筈ですが、そうではなく、顧客の投資を委託され、その手数料、管理料で儲ける方が確実だから、今の証券会社の事業形態となっているのです。そこに株の真実があります。証券会社は顧客様の為にと言って営業トークをすると思いますが、実は、顧客が儲けようが損をしようが、どちらにしても彼らにはお金が入る仕組みなのです。それが一番堅くお金を生み出す方法だと考えたからこのやり方になっているのです。
どうしても、株式投資をしたいと言われるのなら、もし損をしても生活に支障が無い範囲の金額を、自分で調査して将来性のある企業を選択し、長期的に保有することを前提に投資することをお勧めします。それで、配当を貰い、それが利息となって投資効果を得るのです。企業によっては株主優待券も付いて来る場合もあります。短期的な株の売り買いで儲けるのはお勧めしません。
反対に、株を短期的に売り買いして大きく儲けるのは、相当なプロ(デイトレーダー)でなければ出来ません。儲けられたとしても、四六時中、息を抜くことも出来ずに精神的ストレスに苛まれることになりますので、ほとんどの人は、その生活に疲れ果てるか、一生遊んで暮らせるだけの資産を形成した段階で、リタイアするのはそういうことです。ほんの一部の人が伝説の投資家として高齢までデイトレーダーではなく投資会社を設立するなどして活躍するのはありますが、ほんの一握りです。
私が言いたいのは、投資というものそんなに甘いものではありません。それなのに、それを国民個人に推奨する政府が信じられません。本来は、政府が投資の専門家に委託し、税金から得ている資産を運用して利益を出すことに努めるべきで、国民個人にその労をとらせるなど責任放棄が甚だしい限りです。つまり、政府自身でリスクをとれないほどの投資金額になるのを避けているのだと思いますが、それは正しいかもしれませんが、それであるのなら、税金の使い道を見直すなどして、年金や福祉に必要なお金を政府自身が捻出する責任を果たすべきです。
この責任転嫁で、国民ひとりひとりが投資で苦労させられるのは本当に馬鹿らしいことだと思います。