終戦記念日の前後で、NHKでは太平洋戦争に関するドキュメントが数多く放送されました。今回、題材にしましたのは、日米間のサイパン島の攻防です。サイパン島は大正時代、日本の統治下に置かれ、開戦当時には日本からの移住者が三万人弱暮らしていました。米軍にとってはじめて戦地で日本の民間人とまみえることになったのです。米軍は、サイパン上陸作戦にあたって、民間人に危害を加えないように指示を出していました。上陸を果たした米軍は、サイパン島の南部から徐々に北進して行ったのですが、日本の民間人は捕虜になるのを恐れ、軍隊とともに戦闘に同行していたようで、米軍が民間人のグループだと認識し、油断していたところを民間人に紛れていた日本兵から奇襲を受けて、酷い損害を受けたり、北部に押し込まれた日本軍は、民間人に自決を促し、自爆したり、切り立った断崖から身を投げたりするのを目の当たりにし、米軍の意識が、この戦闘を終わらせる為には日本兵だけではなく民間人もすべて殺戮しないといけないというような心情へと変化していったのです。
日本軍は戦闘員ではない民間人にも日本人の誇りを保つ為だと自決をさせるという行為も、かなり異常だと思いますが、米軍も民間人に紛れて攻撃して来る捨て身の攻撃に疑心暗鬼になり、民間人も含め一人残さず殺戮しないといけないと考えるようになったこともかなり異常な世界に入って行きました。
まさしく正気の沙汰とは思えませんが、人間というものは切羽詰まれば、まともな考え方が出来なくなり、狂気に走るのだということがよくわかるのです。
前回のブログで述べました若者達を特攻攻撃で多数死に追いやったことや、日本国民全員を特攻精神で本土決戦に臨ませようとした日本軍の異常さと同じように、サイパン島でも、通常では考えられないような狂気が蔓延したのでした。
戦争のように、普通の人間が人間を殺し合うような極限状態に追い込まれたら、人間は考えられないような狂気に走るのです。このような地獄に国民を追いやることなどあってはならないのです。戦争はどんな大義を唱えたとしても、悪なのです。大部分のWEタイプの人間は理性的であるときは互いを思いやれる慈愛を持っていますが、極限状態に陥ると、悪魔に変わってしまうのです。そのように人間を悪魔に変貌させるような戦争は決して起こしてはならないのです。
我々はこのことをしっかり心に刻み、戦争の事実を綺麗事に変えることなく、正確に次世代に伝えていかなければなりません。