自民党総裁選挙で、9人の候補者が、テレビで各々の公約や政策、考え方などを連日披露しています。同じ政党だと言うのに、課題、テーマについてバラバラな意見を持っています。現役閣僚なのに、現内閣と違う意見を持たれている人もいます。本来は閣議で真剣な議論が為された結果、決められたと思いたいのですが、どうやら、総理大臣の意向が尊重され、各大臣も自分の意見を強く主張していなかったことが、今回の総裁選の各候補者の主張で判明したような気がします。
政党政治と言うなら、自民党としてどこが共通認識なのか、その共通の考え方の上で、どこが違うのかを整理して、明確に示してもらいたいと思います。それが明確で無くて、個々に主張しているのであれば、政党を組む意味があるのでしょうか。単なる議員選挙の為に集まっている集団としか見えて来ません。それは立憲民主党のような野党だってそうです。
議員選挙のときや議会での議決のときだけ協力する団体なのですね。そして、その案は党の幹部や総裁の一声で決まっているのでしょう。私は、政党の中でも色々な意見があるのは悪くないと思いますが、そうであれば、真剣に議論し合い、その結論として党の意見をまとめることが意味があると思っています。残念ながら、日本の政党の中でも、議会の中でも、きちんとした議論の応酬がされているのを見たことがありません。つまり、政党の中では、強い力を持つものの意見が通り、政党間の議会での議論では議決権の数の多いものが、例え議論での旗色が悪くとも最後は強行採決して決まることが多いのです。それがくつがえるのは、世論が高まって反対したときくらいでしょうか。否、世論調査の結果を無視されることも度々あったような気がします。
このようなプロセスで法律や政策が決まるのであれば、国民の意見が反映され難いですし、少数の意見であっても本当に素晴らしい意見が採択されることもありません。民主主義、議会政治は、衆知を結集して、最高の策を導くことを狙いにしている筈ですが、残念ながら、結局一部の権力者の意見で決まっていくのです。だから、野望の大きい政治家は自民党総裁になって、自分のやりたいようにすることが、議員の目標なのだと思います。選ばれたリーダーが国民目線で素晴らしい政策を打てるのであれば、まだ納得が行くのですが、議員メインの投票で選ばれる総裁選では自民党議員の為になるリーダーが選ばれ易くなってしまうのです。
そんな人物が、国民全体のリーダーとなるのです。だから、結局、選挙で役に立つ大企業、富裕層を優遇せざるを得なくなり、いつまでたっても一般国民を本質的に救う政策など出て来る訳はないのです。