ガザ紛争に端を発した戦争は、今や、レバノン、イランなど周辺の国を巻き込んで拡大しています。イスラエルが八方に戦いを挑めるのは、米国からの武器供与、購入があるからだと言われています。米国では、一ヶ月後に大統領選挙を控え、民主党、共和党とも米国社会で大きな地位を占めるユダヤ人に対して配慮的で、現政権も表面では停戦を呼び掛けてはいても、武器供給を止めてはいません。結局は選挙の為に、途方も無い数の人殺しの道具をイスラエルに供給しているのです。

 どこの国でも、選挙に勝つことこそが優先されているのです。第二次大戦後、多くの国に、民主主義的な選挙が拡がって行きました。本当は、選挙で国民の代表を決めるということより、国民主権で国民が安全で安心な生活を出来るようにすることが最優先の筈なのに、いつのまにか、選挙に勝利することが全てに優先するようになってしまったのです。

 このようなことを考えますと、今の民主主義はまだまだ未熟で未完成の制度であると言わざるを得ません。選挙で勝利して、権力を握り、一部の人間達が自分の思うように国を動かすことが目的化してしまっているのです。選挙で選ばれた人物が国民の為に政治を動かすことが本来の狙いであり、そうだからこそ、選挙の勝利者に権力を与えることになっているのです。しかし、不都合なことに、その権力をどう使うかは、勝利者、つまり権力者の胸先三寸にかかっていて、その選択が国民第一とは違う方向に向かうことが多いのが実態だと思います。

 このことから、今の民主主義のルールは改善されなければならないと思います。ポイントは心底から自分の為よりも国民の為に働きたいと考えている人物が選挙に立候補し、当選するような選挙の仕組みに変えなければなりません。その為に、選挙で選ばれた人にはその人個人を利するような処遇、権利を与えないということです。報酬を国民平均並みにすれば、お金の為に政治家を目指す人が他の職業を目指すようになると思います。政治に必要なお金は、個人で自由になる金は一銭も無くし、すべてその理由と使途が証明される領収書などの添付を必須とします。それこそ、秘書を雇うことでも、その秘書に何を具体的にさせるかを証明した上で、支給するようにします。今のような選挙区の支援者対策に使用することでは認めません。政策の立案にかかわることであっても、単なる情報収集だけでは認めません。IT技術を駆使して収集出来るようなことに秘書は必要ないと思います。

 このように国民の為の仕事に絞れば、今まで多く浪費していた選挙対策に関わる費用が必要なくなります。また、企業、団体からの支援を禁止し、個人個人が自分の意志で投票出来るようにします。個人レベルでも、個人の利害を目的に資金を供与し、支持をするような人もいると思いますが、個人献金も政治パーティや勉強会の形でもすべて禁止します。徹底的に政治に金が関わることを無くすようにするのです。政治活動への献金も無くし、政党助成金のような不透明な金も一切無くします。政治に必要なお金はすべて申告制として、透明化するのです。

 ここまで金を排除すれば、本当に手弁当で国民、市民の為に働きたいと言う人達だけが選挙に立候補することになるでしょう。そして、彼らの選挙でのアピールポイントは広く国民、市民に対して何をするかという政策だけにしたいと思います。選挙方法もそのことが有権者に分かるような、テレビ、ネットを活用した政見放送、演説会、候補者達の討論会を主体に実施し、そのことに意味の無い、ポスター、街宣車での名前連呼、電話による依頼なども禁止します。

 民主主義の本質から考えれば、このような新しい選挙システムを思いつくのはそう難しくないのですが、残念ながら、本来はこのような改革を担う筈の議会には、今は、お金、権力目的の議員が多いので、なかなか実現は難しいのです。

 追記 トランプ氏、麻生議員などのような大金持ちは金の為ではないのではと言う人もいるかと思いますが、あまりにも絶大な権力、権限が彼らのビジネスにも、権力欲を満たすことにもつながっているから、そのような人物も立候補するのだと思います。そこに対しては、また別の機会にお話したいと思います。