NHKのドキュメントで、世界の壁についてのエピソードを綴っていました。メインは第二次世界大戦終戦後のベルリンを東西に分裂した壁でした。ドイツが西ドイツと東ドイツに分断され、さらにかつての首都ベルリンは東西に分けられたのですが、最初は有刺鉄線のバリケードが設置されました。東側の警備の兵隊のひとりが、そのバリケードを越えて、西側に入りました。この行動を契機に、多くの人達が西側に越境したのです。その後、その場所に高い壁が設置されて、越境が難しくなったのですが、まだ諦めない人も多くいました。彼らは秘密裡にトンネルを掘ったのでした。
多くの市民は国が分けられて、親しい家族、親族、友人らと突然会えなくなってしまったのです。こんなことを経験するなんて、信じられないような感覚と思いますが、執念で越境を図った人が多数存在したのです。
そして、有名なベルリンの壁の崩壊へと歴史は進んだのです。この後も、ソ連邦の解体、東欧諸国の民主化と続き、世界は一気に自由主義、民主主義へと拡大するのではないかと期待したのでした。しかし、残念ながら現在に続く世界は、新たな独裁国家の出現、紛争の拡大へと進んで行くのでした。ベルリンの壁が崩壊した時点で一旦減少した壁の数は、また増加しています。現存する壁で有名なところでは、南北朝鮮の38度線の壁、インド・パキスタンの長い壁から、イスラエルのパレスチナ人居住区と隔てる壁、最近では、米国とメキシコを隔てる壁、ロシアとフィンランドの壁など、対立や不法移民への対抗策としての壁が増えて行ったのです。
これらの壁は、政治的、経済的、宗教的、民族的な分断の象徴とも言えるものです。しかし、権力者がその必要性を主張し、建設したもので、一般の国民、民衆にとっては生活圏を分断するかなり迷惑なものであることが多いとも言えると思います。
新ハルモニア主義で主張していますのは、どんな国であろうと、地域であろうと、全ての人間が善人であるところはありませんし、全てが悪人であるところもありません。だから、壁を築いて、国、地域を分けたとしても、皆が安心して暮らせるようなことはありません。必要なのは、周りの悪をいかに抑え込み、制御し、庶民が助け合って安心な暮らしを出来るようにすることが重要であって、壁があると、かえって善良な庶民の連携を断絶させることになってしまい、権力者が意図する分断を加速するだけになってしまうと言うことなのです。
これからの世界は、いかに権力者達の欲望を抑え、一般民衆が市民レベルのネットワークで団結し、助け合い、協力する社会を作るかだと思うのです。だから、壁など不要なものなのです。