前回のブログで、今回の衆議院選挙で、与党が大敗することは予想出来たことだと述べました。石破首相は今すぐ、国民に信を問うことがこの選挙の大義だと言っていましたが、これについては、全く大義になっていないと思っています。だいたいワザワザ新しい内閣を組閣したのにも関わらず、新政権が仕事をする前に衆議院を解散するなんて、国民の理解を得られる筈がないと思っていました。私が石破さんの立場であれば、まずは石破首相が総裁選で公約としていたことを具体的に国会の場に提案し、審議されることで、自分自身の考え方を国民に理解してもらいたいと思います。そこで、与野党間の議論が為され、それを国民に見てもらい、自分達の政策がいかに優れているかを示したいと思います。そういう過程の中で、与野党間に大きな齟齬があるとしたら、それを国民に問う為に、その時点で衆議院解散の手を打つことがいいと思うのです。
それなのに、拙速に衆議院を解散したという判断はどういうことでしょうか。ひとつは、野党が共闘などの準備を整えない内にやりたいと思ったこと、またひとつは、今の内閣の陣容では、国会での審議でボロが出かねないとその前に選挙したいと考えたこと、最後のひとつは、国民は新首相へのご祝儀投票を期待出来ると踏んだことです。つまり、そのような党利党略優先の解散選挙だったのですが、国民にはそんなことはバレないとでも思ったのでしょうか。それこそ、国民の動向、レベルを読み違えた、大きな判断ミスであったと思います。
そういうことなので、私が最も心配なのは、そのような簡単な情勢判断も出来ない、今の自民党幹部達に政権を任していて大丈夫かということです。それこそ、国民の生活苦や被災対応などの国内の問題だけでは無く、海外に目を向けますと、米国の大統領選挙の結果によりどうなるのか、それにどう対するのか、中国、ロシア、北朝鮮の好戦的な動きからどう国を守るのか、世界的なエネルギー、環境問題にどう取り組むのかなど、非常に難易度の高い問題が山積みしています。政権が判断を誤れば、国民の安全も生活も守れなくなってしまうと思います。そのような観点から、今回の衆議院選挙での判断ミスをしてしまうレベルの危機管理能力しか持たない、首相、政権幹部で大丈夫と言えるでしょうか。
こんなときこそ、リーダーの真価が問われるのです。これまでの石破首相の動きを見れば、彼が危機を回避するに相応しいリーダーかどうか非常に疑問です。彼は、責任の無い立場のとき、非常に正論とも言うべき論理的な意見を言われていました。しかし、一旦政権を担う立場になると、党の融和を図る為とは弁解されていますが、自論からはかなり振れた動きを平気でされています。確かに、独裁的に独善的に自分の考え方を押し通すことは良くないと思いますが、しかし、極端に持論を曲げるとなれば、自分のいい所も殺してしまうことに成りかねません。安倍元首相、岸田前首相は独断で先行することも多々あり、それが組織力を活かせないことにつながっていました。しかし、リーダーには信念が必要です。但し、安倍、岸田両氏のような独善では無く、日本国中の優秀な人材の意見をしっかり聞いて、その上で、首相が最終判断するのが理想です。石破首相は多分、森山幹事長以下の取り巻きからの情報、意見で判断して来たので、こんな判断ミスをしてしまったのではないでしょうか。彼の一番の弱点は、信頼出来る優秀なブレーンや、いろいろと指摘してくれる腹心がいないのかもしれません。いずれにせよ、そのようなブレーンや腹心を揃えるのもリーダーの重要な役割なのです。
このようなことを総合的に判断しますと、石破首相をリーダーとする今の政権では、日本の舵取りを任せることは出来ないと思うのです。総裁選の時点では、これまでの自民党を改革出来るのではと期待しましたが、残念ながら、現在の姿を見ますと、大きな不安を抱かざるを得ません。