政治資金規正法の改正案の議論が続いています。基本的な方針では、政治資金の支出の透明化であることは、各党とも認めていることではありますが、自民党案では、国の安全や外交上の秘密、法人・団体の業務秘密などを害するおそれのある支出を非公開に出来る道を残しています。
一見、もっともそうに聞こえますが、これを悪用しようとするものがいたらどうするかと言う問題が残ります。法律やルールに例外を作ってしまうと、必ずその部分を悪用しようとする人間が出て来るのもこれまでの常であったと思います。特にこれまでの政治と金に関するルールは常に例外事項が存在し、そこを抜け穴にする手合いが必ず出て来て、それが発覚して、問題になって来たのです。そういうことですので、また例外事項を作りますと、将来、巧みにその部分を抜け穴として悪用するものが出るであろうことは充分に予想がつくと言うものです。
国の安全や外交上の秘密と言いますが、数多くいる議員のうちどれだけのものがこのような支出をするのでしょうか。一方、別途、官房機密費という、全く領収書の必要の無いお金も存在します。機密に関わる支出はまずはこれを使うことに限定してはどうでしょうか。それを使うにあたって、総理の許可を得るようにすればいいのではと思います。そうすれば、少なくとも総理の責任による支出となり、責任の所在が明確になります。
石破総理は政府だけの外交では不充分で、党外交、議員外交が必要だから、官房機密費では不充分だと言われました。誰がどのような立場で外交活動をするのかを制限するのではなく、どのような立場のものでも、内閣に進言して、官房機密費の支出を申請し、内閣として、その意味合いを理解すれば、支出すればいいのではないかと思います。内閣が必要だと認めない外交活動を勝手に出来ること自体、政府として無責任だと思いますので、だから、この方式でいいのではと思います。
次に法人・団体の業務秘密などを害するおそれのある支出についてですが、少なくとも、国民の為の政治活動であるのなら、オープンに出来ないこと自体変だと思います。あるとしたら、党や議員個人の選挙に関わることなど、国民の為ではない活動に関する秘密でしょうが、そのような利己的な支出は党や議員が身銭を切るべきであると思います。そもそも選挙などにお金をかけることを公的な政治活動費とするのがおかしいと思います。この基本的考え方から変えていくべきだと思います。
要は、まずは一般の政治活動費の支出は全てオープンにし、自民党が言うような例外的な支出は、内閣が管理する官房機密費を使用することとして、きちんと区別することが必要だと思います。
後は、官房機密費のような使途を公開する必要の無いお金の支出の正当性をどう担保するかが残ります。この使途の責任は、一元的に総理にあるとしたら、そう簡単に悪用出来ないので、当面はそれで進めるしかありませんが、この部分だけを監査する委員会を作るか、ある期間が過ぎた後に公開すると言ったやり方を取らざるを得ないかもしれません。いずれにせよ、一議員が悪用するようなことは防げると思います。