IT社会の現代、情報が溢れています。その中には、作られたり、誇張されたり、歪曲された情報も多く存在しています。その中から、真実の情報をどう見分けるのかが問われる時代となっています。さらに、ロシアのウクライナ侵攻では、国家的な情報コントロールが行われているようです。こうなって来ると、我々はどのような目を持って、それらの情報を見ていくのか非常に難しい問題となっています。
ロシア国民のプーチン大統領への支持率は未だに70%を上回っているそうですが、このことは、非常に巧妙に情報操作されている結果であると考えられます。ロシア政府の言い分は、ウクライナに住む親ロシアの人民は親欧州の政府から長年の間虐げられていて、その人達を解放する為にロシアの望んでいない武力行使を実行するに至り、ウクライナ現政権を打破することを目的に進んでいるとしています。このような一方的に自分達の善行を主張することは戦争の大義によく利用されることです。ロシア国民がそのことを信じていれば、プーチン大統領を支持するのでしょう。逆にウクライナで起こっていることは前述したような状況ではなく、ウクライナ国民に多大な災難を及ぼしている、それも一般市民への攻撃すら頻繁に行われているということをロシア国民が認識すれば、プーチン大統領への支持も変化する筈です。だからこそ、真実を隠すために情報統制を厳しくしていくのです。
という事で、多くのロシア国民にどのようにして真実を知らせるかが非常に重要となっているのです。厳しい情報統制が布かれていればなおさら困難なのですが、ロシア国営テレビ局の局員が生放送中に真実を視聴者に知らせようとしたような体を張った行為が、大きな壁に楔(くさび)を入れるかもしれません。このような市民レベルの抵抗が必要なのです。
今、我々日本人はどんな情報にも触れることができますが、逆に情報が多すぎて、どれを信じるべきかが問われるという意味で、大きな問題を抱えています。そうだからと言って情報は制限されるべきではないのです。今回のロシアの例から学べるのは、国の指導者のような限られた権力者の言うことだけで判断すると危険だと言うことです。併せて、嘘の情報を潰す目的だと言って情報統制がされるようになったら、権力者が何かを隠したいという意図があるということです。情報は制限されるべきではなく、我々一般民衆が多くの情報から真実を嗅ぎ付ける目と鼻を養うことに努めるべきなのです。それは簡単なことではありませんが、大切なのは、情報に接しても感情的にならずに、その情報がもし嘘であったら、誰が得をし、誰が損をするのかということを想像し、反対意見の情報を探し、それに対しても同じような考察を実施し、どちらが理論的に矛盾しないようなシナリオが構築できるかどうかで判断するのがいいと思います。特に権力者の発言には常に何か裏がないかと怪しむこと、匿名の情報にはきちんとした根拠があるかどうかに注意することが重要です。