いつもお伝えしているように、完全な人間はいません。一方、人間社会を円滑に運営していく為には、リーダーが必要です。だからこそ、どんなリーダーであれ不完全な人間であるという前提で、リーダーの選択方法、権限、任期などを決めなければなりません。決して独裁者となるリーダーを作ってはいけません。民主的に国民の選挙で選択されることは最低限の条件ですが、それだけでは不十分です。人間が完全でないということは、ひとつはミスもするということ、もうひとつは年月を経れば考えが変わるということ、そして年をとればリーダーたるパフォーマンスを維持できないようになることを十分考慮して下記の三原則を基本にしたルールなりを作ることが重要です。
①選択方法 国民による選挙を実施する。選挙の方法は、これまでにも述べてきましたように出来るだけ候補者の考え方が判るような選挙活動方法を実施する。
②全権をひとりのリーダーに集中させない。併せて、議会、国民がなんらかのリコール権を保有する。
③任期は10年未満で設定する。長期政権が腐敗を呼ぶのです。
最後にリーダーの資質を考えてみましょう。理想なのは、私欲を捨て、国民のことを第一に考えられるひとであるべきですが、この点について、公で本性を明らかにするのは大変難しいのです。但し、私欲の為にリーダーになるひとにはある程度の兆候はあります。ひとつは自身の待遇が華美に彩られているかどうかです。公邸や別荘、車、飛行機、船、趣味、生活などは、安全、外交の為と言って、非常に豪華なものにする傾向があります。貧しい国民が多数存在するのに、自分に掛かる経費が膨大であっても平気なひとは私欲の強いひとです。次に、近しい縁故、知人が優遇を受けているという点です。一部の自身を肯定し、支える人達には見返りで法外な権利、富を与えるのがよく見受けられます。さらに、周りに異論を唱えることが出来るものがいるかという点です。本人が自身も間違った判断をするかもしれないという謙虚な姿勢があれば、反対意見でもきちんと理解しようとしますが、逆に自分がすべて正しいという独善的な性格のひとは、異論を唱えるひとを排除し、イエスマンばかりを登用して、周りを固める傾向にあります。この延長で、マスコミなどを支配し、情報統制して、自分に都合の悪い情報を消したり、改ざんしたりします。
このような独裁的なリーダーになる特徴は、現在の世界の独裁者にあてはまります。日本では、そこまでのひとはいないかもしれませんが、多くの政治家、官僚の幹部などは、素直に間違いを認めることが少ないと思います。人間は間違いを起こすこともあるということから目を逸らしたり、胡麻化したりしている内は、正しい議論も出来なくなり、本当の効率的な進歩の道を歩むことはできません。それにより、国民の税金を無駄にしたり、国民に苦難を強いていることに早く気付いて欲しいものです。我々はどこかの独裁者とは違うとたかをくくっていると、国を誤った道に進めてしまうということに成り兼ねないのです。その先に、国民を恐怖に落とし込む独裁者を生む世界が存在するのです。