四月に入りました。多くの人達が新しい生活を始められるときが今年も来ました。未だコロナ禍でありますし、ウクライナ情勢もまだまだ先行きも不透明で、それらに伴う物価高など不安な状況が続いている中でのスタートとなりますね。自分自身の過去の入学、入社などの経験を思い出してみますと、それまでの人間関係ががらりと変わり、周りを見れば知らない人々に囲まれている新しい環境に大きな不安を感じていたことも思い出されます。どちらかと言いますとあまり社交的ではなかった性格を自覚していましたので、何とか自分を奮い立たせて、積極的に新しい人との関わりに手を染めようと努めていたと思います。そのようなことで、家に帰って家族の顔を見てほっと力が抜けて束の間の休息に逃げ込んだこと、しかし、新入社員のときは、実家から遠く離れて独身寮で二人部屋だったので、そのような安息の時間もあまり持てずに必死に毎日を過ごしていたことが思い起こされます。学生時代は、限られた時間を過ごせば卒業ということになりますが、社会に出るとこれから先何年もどのように暮らしていけばよいか大きな不安と、自分自身で収入を得て自分でいろいろ決めていける生活に、ある意味社会人としての自由を勝ち得たという解放感もありました。しかし、社会人としてどのような人間として歩んでいきたいかという大きな課題も未定なままでしたので、しばらくはそのような目標作りがある意味目標となっていました。当面は、学校で学んだ専門をベースに会社に貢献することを考えていたと思います。会社の中でもいろいろな人間関係の中で仕事をしていく訳ですが、仕事そのものになかなか本当に打ち込めるというものが見つからず、かと言ってサボらずに真面目に仕事をしていたと思います。その甲斐あって、少しづつ仕事を任せてもらえるようになり、それに伴い部下を持つようになりました。ひとりは十代の入社二年目の社員、もうひとりは自分より10歳以上年上のベテラン社員でした。転機はこのときだと思います。今までは自分で考えたことを自分で実行する訳ですから、そこには自身で実践あるのみでしたが、今度は、自分で考えた事を他人に実行してもらわないといけない訳ですから、意思疎通ということが非常に重要となります。しかし、なかなか考えたとおり進みません。ひとつは、その仕事に対する自分の考えた狙いというものが理解されていないこと、さらに若い方のひとの専門的な知識が足りないこと、年配の方は仕事は給料を貰うためのものと言う割り切りが障害になっていると考えました。そのような状況を打破する為に、仕事の背景、狙い、それらと実際行う作業との関連性を理解してもらうまで説明し、知識習得には個別に勉強会を続けました。少しでも、自分の仕事がどう会社に貢献するか、その為にどんな努力をすれば良いかを感じてもらいやりがいにつなげてもらいたいと思いました。一番、苦労したのは、年配の方は仕事はきちんとされているのですが、本来の能力はもっと高いところにあるのに発揮されていないと思う点でした。その原因としては会社への不信、それによる仕事へのモチベーションが高くないことと思われましたので、それらを覆すことでした。そこで、機会を見ては、その方と話をしました。何日も話している内に趣味からはじまり人生観まで話し合えるようになりました。その中で、私が特に訴えたのは、一日の会社の中で費やす時間は自分の時間の三分の一にもなり、寝る時間を考えたら半分かもしれない、貴重な自分の人生の時間を半分つまらなく浪費するのは非常にもったいない、どうせなら仕事の中にもやりがいを持てるように打ち込みましょう、ということでした。これは自分自身への訴えでもありました。そういうことで、どうしたらもっと仕事が面白くなるのか、やりがいを持てるのかを話し合い、少しづつイメージを固めて行ったと思います。その甲斐あってか、その方の仕事ぶりが変わったのです。要点を文章にすると簡単なようですが、実際はかなりの月日がかかりました。このとき、大変苦労はしたのですが、何か充実感も感じることができました。一方、自分自身も会社に対する不満もあり、特に強い不満は、会社の業績はそこそこ安定していたからかもしれませんが、新しいことに挑戦しようとする雰囲気が少なかったことです。私は、新しいチャレンジを常に試みることが会社全体の活力を生み出すもので、現状に甘んじていてはいずれ衰退の道を辿るのではないかという危機感でした。
 そこで、会社における自分の目標を、将来会社に貢献できる新事業を創出すること、その為にひとりひとりの強みを集め、弱みをカバーしあうことの出来る総合力の高いチームを作ることにしました。その目標に日々挑戦することで、苦しくて、辛いことも多くありましたが、ある程度の目標を達成でき、かなり充実した会社生活を送ることができました。
 今回、私が主張したいことは、仕事をしてお金を稼ぐことは大変なことで、人間関係に悩んだり、思うように成果を出せず焦ったり、いろいろ理不尽なことを体験したりと、苦しくて辛いことも多いと思いますが、一方、自分自身で目標を定めて、それに邁進することができれば、辛いことも耐えられますし、逆に喜びや充実を感じることができると思うのです。上司の指示に一方的に従うことは、自分で考えなくて良い点、責任をとらなくても良い点、ある意味で楽とも言えますが、大きな障害を乗り越えられるだけのパワーを生むことはありません。その為、ストレスに苛まれ、ひいては精神的にまいってしまうようになるのです。
 是非、自分自身の人生を大切にしてください。それを会社や上司に潰されてはなりません。その為に、自分でやりたいことを探し、見つけ、自分の頭で考える会社生活を送ってください。会社や上司が悪いと嘆いているだけでは、何も解決しません。会社や上司の為に、自分の人生を台無しにされてたまるものかと奮起し、何をしたら良いか自分自身で考え、行動しましょう。その先にきっと一筋の光が差し込んで来ると思います。
 新しい生活に戸惑うことが多いと思いますが、時間をかけて自分主体の社会人生活を見つけてください。その為に今耐えねばならないと自分に言い聞かせて、しばらく一歩一歩、歩んでみてください。
 
 

投稿者

弱虫語り部

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)