ロシアによるウクライナへの侵攻により、エネルギー関連、小麦等食料関連など大幅な値上げが進んでいます。さらに追い打ちをかけるように日米の金利差に起因して為替レートが久し振りに大きく円安に振れて、前述した値上げをさらに押し上げ、日本国民の暮らしにさらなる悪影響をもたらしています。
 為替が変動制になって久しいですが、極度の為替変動は企業活動、国民生活に暗い影を落とすことが何度も繰り返されて来ました。しかし、かつて大幅な貿易収支の黒字を出しているときは、輸出産業の攻勢を高めることにもつながっていまして、この反動で円高に傾いて、輸出産業の競争力削減、それによる輸出入バランスの均衡化につながったこともありました。このような為替変動はいろいろな面で国民の生活に影響を与えると言うことで、それに対応する処置を考えねばならなかったのですが、政府として一時的に為替相場に介入することはあっても、喉元過ぎれば熱さを忘れると言うことで抜本的な解決策を打ち出せずに今日まで来まして、また今回の円安を迎えた訳です。昨今は、以前のように大幅な輸出超過の状態ではなく、比較的輸出入のバランスがとれつつあるのですから、国全体として見れば、為替変動の影響はさほど大きくない筈です。ということは、円安で価格上昇する輸入品価格の増加分に対して、円安で利益幅が拡大する輸出品の利益増加分を政策的に補てんする仕組みがあれば、国民生活への大きな影響を緩和することが可能なのです。確かに輸入産業から見れば、濡れ手に粟で円安による為替差益を得ていた分を輸入関連の商品の値上げ抑制の為に召し上げられることには抵抗はあると思いますが、長い目で見ればこの逆の場合もあるのですから、企業は為替変動のリスクを気にせずに、真に製品価値そのものを高めることに集中できることになるという大きなメリットがある筈です。これにより国民、企業ともに長期的な安定を得られる訳ですから、悪い政策ではないと思います。しかし、実際の具体的な法律、政策に落とし込むには、いろいろな問題を乗り越えなければならないのも事実ですから、政府、官僚が相当に知恵を絞り、行動しないといけなくなる訳ですので、今の日和見主義の政治家、官僚には荷が重過ぎるのでしょうか。

投稿者

弱虫語り部

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